現代を映し出すことを意識したときに、
AIやメタバースの存在は、必ず向き合っていきたいものだ。
私自身、書道家というキャリアが表立っていて、なぜそこにと思われるが、元々研究していた対象は「電気工学」。
中でも、ウェーブレット解析と呼ばれるデジタルとアナログの音の変換を元とした解析を研究していた。
そのため、テクノロジーとは切っても切れない関係でもある。
私にはテクノロジーとどう向き合っていくか。
というテーマが昔からある。
書道家というキャリアを重ねてきたからこそ、次のフェーズとして、テクノロジーとも向き合っていきたい。
その第一弾のシリーズとして、
AIと書道・日本文化(word art)の所在、AIと人類の関係性を可視化するプロジェクトとして、一つの作品を作った。
上記画像は、パソコン上で制作した、「書道」作品である。
筆で書くのが「書道」という概念があるが、私にはそれ自体への疑問もある。
文字というものは石に文字を打つ行為を経由している。
現在、私はパソコンに文字を打っている。
また、ときにはスマートフォンとディスプレイ上でタップしている。
これもまた「書道(作品)」という概念で見ることができる。
美術の文脈で、この作品を制作している。
さらに、今回は「AI(ChatGPT)」が、今世界に伝えたい言葉を書き起こしている。
(実際のやり取りのスクリーンショット)
アートの文脈で取り入れられる「詩」や「言葉」というものに着目しつつ、アクターネットワーク理論をベースにAIにもエージェンシーがあると捉えた上での作品だ。
この作品では、釈迦の説法や、聖書の真言、神道の祝詞のように、この世界に対する「マントラ」や「祝詞」の役割として、AIからの言葉を引き出している。
この社会の中でAIがどのようなポジションになっていくのか?
ツールなのか、一つの存在なのか。恩恵なのか。
彼らと我々人類の関係性を可視化していくためにも、この作品シリーズを今後も取り組んでいく。
プロフィール
杉田 曠機(すぎた こうき)
1983年3月宮崎県生。鹿児島大学工学部卒。在学中に書と出会い、「和」の探究へ。世界的ブランドやホテル、アメリカの美術館、神社仏閣へも作品収蔵。その他、個人、企業、ブランド、施設など、様々な媒体とのコラボや、デザイン/ギフト作成を行なってきた。各国首脳が集う会合や国際的な展示会にも出演。日本文化の発信、書道・芸術活動を主に、世界で活躍している。