福岡出身の日本画家で現代美術作家の出口さんが帰国されての展覧会をされると聞いて、
レセプションへ参加した。
彼とは2013年にニューヨークで出会った。
東京芸大を卒業し、世界を巡ったのち、
ニューヨークを拠点にしようと引っ越してきたタイミングだった。
その時も色々と語らい、
杉田へアートの学び方を指南してくれた一人。
その時、アートとは自由に描くものではなくて歴史や文脈、そこに繋がる自分を伝えなくてはならないものだと知った。
それからは彼がオススメしてくれた歴史の本などを読み漁り、
自分がアートの文脈の中で、どこにいるのか?
どこへ向かうのか?
を考えるようになった。
アートとは自由な表現のように見えて、
実は研究職や考古学、文化学などに近い。
歴史、知識、文脈、自分。
そのすべてが相まって、はじめて「アート」と呼べる。
その意識がついたのは、出口さんのおかげだ。
そんな彼の展覧会が、
art space tetoraで開催。
彼の高校時代の同級生と3人でのグループ展。
なんと、太宰府高校出身というじゃないか。
それ一番驚いたとこ。
オープニングレセプションと題し、
アーティスト3人のトークライブ。
そして、
福岡の美術館の学芸員やギャラリスト、博多人形師を交えた「アートとは何か?」の座談会。
出口さんのプレゼン能力が高くて、話が分かりやすかった。
「伝える能力」は、アーティストには必須だ。
私もアメリカ滞在中にギャラリストと語らっていて、
日本人は「伝えない、話さない」というデメリットを伝えられた事がある。
日本人だけだ。
「絵で語れ」と思っているのは。
もちろん、絵だけで語れるものもある。
伝える役割が「キュレーター(学芸員)」だったりするから、その必要がない人もいる。
だけど、若いアーティストは個展で、キュレーターが随時いるわけじゃない。
じゃあ誰がするか。
自分だ。
ここをサボってたら、ダメ。
努力でどうにかなる。
作品とゲストとの間を取り持つ「コミュニケーション能力」は、若いアーティストには必須。
それは何も「話せ」って事じゃなくて、
その作品とゲストが通じ合える「橋」を創るのは、声・音・文字・紙など色々とある。
そこのデザインまで出来て、アートになる。
と、出口さんのプレゼンを通して感じた。
現代美術(アート)とは、何か?
私たちの作品の買い手は誰か?
をデータで観た時に、
半分以上を投資家、不動産関係(フィナンシャル系)が占める。
また現代アートの市場については、
アメリカがダントツ。そのあとにヨーロッパ(主にイギリス)が占める。
日本なんて、ほんの僅かだ。
なぜ、ここが圧倒的かというと出口さん曰く、「戦勝国」だから。
これが現実。
これは第二次世界大戦以前だと、フランスだったという事実もある。
どこが「戦争に勝ったか?」が、残念ながら今のアート界を動かしている。
現代アート界では、Love&Peaceと言っておきながら、
戦争に依存しているのかもしれない。
ただ、もっと大きな視野で観た時には「文化」というものは戦争の有無にかぎらず、世界を巡っている。
その視点は、和の長い歴史・文化を探究してきた杉田だから知るところでもある。
また、現在のアート界は「マーケット」に依存している部分も指摘していた。
ダウ平均株価が下がると、アートのマーケットの金額も下がる。
またアメリカでは大統領が変わる前後でも、アートの買い控えが起こる。
そういうように市場とアートの密接な繋がりも話していた。
現代アートを牽引している存在は?
現代のアートを牽引しているのは、アーティストではなく、
美術館のキュレーターや、
ギャラリスト、
コレクターと言われている。
もちろん、牽引しているアーティストもいる。
Power100という英国が発信する現代アート界のランキングがあるが、
そこに名を連ねる影響力の高い人物たちは、上記の肩書の人物が上位に多い。
それだけ、アーティストが時代を牽引するチャンスが眠っているとも言えるし、
今の時代は投資家やギャラリスト、キュレーターが牽引しているとも言える。
アーティストもいるが、その多くは「アクティビスト」という存在だった。
社会といかに関わってアートするか?が影響力になる。
何かの活動を生み出してるアーティストが少ない。
ここは、これから私達の世代が、もっと見つめるべき内容じゃないかと感じた。
私自身、学生時代までは「アクティビスト」に近い活動をしていた。
そこで「アート」と「活動」の関わりを知り、
難民や孤児院、戦争、死などに対しての活動に、
影響力をもつには「アート」の力がいると感じたため、
「アート」の世界に入った。
最初は、自分の国の文化を学ぶため「書道家」をした。
今は自分の中で融合しようとしているので、
時代の流れは間違っていないと感じた。
改めて、現代アートとは何か?
これは、杉田自身もまだ正確な言葉をもっていないので、
今回の座談会に登壇された方々が言ったフレーズだけ残しておく。
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アートのルールがある中で、どう提案しているのか?
文脈や歴史を踏まえた発言や意思をみて、アートとして認識する。
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100年近く前にトイレの便器にサインして「アート」としたデュシャン以降、
アートの概念が変わってない。
近年、ガゴシアンギャラリーにて「インスタグラムにコメントを書いて、それをアート化した」リチャードプリンスも、この文脈の流れになる。
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物にコンセプトを与える=現代美術
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アーティストが介在したものが、アートになる。どんなものでもアートになる。そのルールを知るべきだ。
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事象も物体もアートになりえる。
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アートは、計画されたもの。一人でも認知する人がいたら成り立つ。
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思いとか手が入ったものは美しい。
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まとめ
今回の座談会を通して、自分なりに発見した事がいくつかある。
アーティスト、アクティビスト。
この2つのフレーズが、自分には合うと感じたこと。
また、現代美術の世界でやりたいと進んできた事に間違いはなかったと思ったこと。
私には「世界を和える」というテーマがある。
これは、おそらく今までのアクティビスト、アーティストとも違う行動の仕方になる。
それが世界にどんな影響力をもつのか。
それは、自分のこれからの生き方次第だなとヤル気と行動力をいただいたレセプションだった。
アーティストの情報
古賀義浩
http://www.yoshihiro-koga.com/
彼らの個展についての詳しい情報【美術手帖】
https://bijutsutecho.com/news/7952/
エルメスについて
写真にエルメスの画像が写ってますが、それはまたいずれ書きます(^^)
杉田廣貴
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